商社マンの煩悩

総合商社マンが日々の業務・日常・就職活動について書き綴るブログ

【総合商社】犬理論【社会人1年目】


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社会人1年目。

他の業界の1年目の新人がどのように思っているのかは分からないが、総合商社の1年目社員は想像以上にきつい。

 

特にトレーディング部門では、配属1ヶ月目で客先の前に出され、会社の看板を背負ってプロフェッショナルな仕事をしなければいけない。

もちろん、新人がプロフェッショナルな仕事などできるわけがない。しかし、できなければ上司・客先から容赦なく叩かれる。

英語ができなければ勿論意思疎通出来ないわけだが、英語ができるできないは関係なく客先やメーカーの前に放り込まれる。これは想像以上にきつい。

 

また、業務外では飲み会での幹事・雑用等全ての面倒な雑務を新人が引き受けなければならない。(これが最も煩わしく、辛い。笑)

 

辛かったが学ぶことも多かった1年目時代に当時の上長から授かった名言?を紹介しようと思う。

 

 

 

とある会食終わり。

 

基本的に0時を越した後に飲みには誘わない松本課長が今日はどうゆう風の吹き回しか、

「あと一杯だけ行こう。」と誘ってくれた。

 

月曜日だったし、「正直帰りたいな。」と思いつつ、松本課長と2人で飲みにいくことになった。

 

松本課長行きつけの銀座のバーに連れて行ってもらい、オススメのウイスキーを飲みつつ、カツサンドを頬張っていた。松本課長はヨーロッパに駐在経験があるため、ウイスキーやワイン詳しく、酔っぱらうと大抵ウイスキーやワインのうんちくを語り始める。

 

「(松本さん、これは明日には記憶ないやつだな。。。)」と思いつつ、松本課長のうんちくを聞いていた。

 

その時、松本課長が切り出した。

「なあ、あずかず。最近なんか疲れてないか?仕事楽しいか?」

 

あずかず「え?どうしたんですか急に。課長酔ってますよね?水頼みましょうか?」

 

松本課長「最近のお前はなんだかせかせかしてるんだよな。仕事には少し慣れてきた頃だろう。それで、そのせかせかのせいで疲れているような気がしてな。後は仕事中の表情。楽しそうには見えない。」

 

完全に図星であった。

当時、仕事に慣れてきてはいたが、徐々に責任範囲が増えてきて自分のキャパを超えつつあった。せかせかせずには日々の仕事をこなせなかったのである。

そんな中、私は1番の悩みをぶつけた。

 

「誰の言っていることが正しいのか分からないことが多々有ります。

例えばちょっとした事項を客に確認したいとき、山田さんはメールで確認しろ、とアドバイスして下さいます。一方で青木さんはそんな簡単なこと電話でパッと確認しろと仰います。」

 

山田さんは当時の私のインストラクター。3年目の社員である。

一方で青木さんは10年目の中間管理職社員である。

 

「山田は若手には信用力がないから、言った言わないで揉めるのを避けようと、確認事項をしっかり記録として残しておきたいことを教えたいのだろうな。青木は些細なことに時間を取らず、効率よく仕事を進めることを教えたいのだろうな。」

松本課長は2人部下たちの言動を冷静に噛み砕いて説明してくれた。

 

あずかず「お二人の言いたいことも理解しているつもりです。しかし、スタンスの違う2人を同時に立てるにはどうしたら良いか分からないですし、そんなこと考えることも正直面倒です。」

私は酔った勢いでまた本音をぶつけてみた。

松本課長「なあ、あずかず、犬理論て知ってるか。」

私はもちろん知らなかった。

松本課長「駆け出しのころってのはみんな犬みたいに首輪をつけてるんだ。勿論、見えない首輪だけどな。その首輪にはたくさんの綱がついてる。それぞれの綱の先を先輩や上司が握っている。だからな、新人てのは動きようがないんだ。右へこいと言う者がいる。もう一方では左へこいと言う者がいる。山田と青木みたいにな。ぎゅうぎゅう引っ張られて首が締まる。新人はこうして疲弊してしまうのな。」

私は「( なるほどな。。。やっぱりよくあることなんだな。。。サラリーマン、本当に面倒だなぁ。)」と思った。

 

松本課長「でもな、年次があがっていくと、綱はその年次の数だけ外れていく。そうなるとどうなるか分かるか?」

あずかず「自由になれます。故にストレスが少なくなるってことですか?」

単純に考え、回答した。

松本課長「そうとも限らない。綱を引いてくれる存在がいないということは、自分で進むべき方向を定めなければならない。総合商社という世界を舞台にダイナミックな事業を興す必要のある会社において、真の意味で自分の力が試されるときが来たということだ。

 

松本課長「だから、あずかず。今は綱を引く存在がいなくなるまで力を溜める時期なんだ。そして綱の先を気にしすぎて疲弊してもいけない。もっと気楽にやろう。時にはこっちから引っ張ってやって、綱をもつ者を引きずってやってもいいじゃないか。」

この課長の言葉を聞いて、酔っていたということもあるが目頭が熱くなったのを覚えている。

「これからも、よろしくな。仕事ってのはな、楽しくなきゃダメなんだ。サザエさん見てテンションが下がる日曜の生活なんて俺は嫌だね。」松本課長はそういって、私のグラスにウイスキーを注いでくれた。

私は隣でワインを飲む課長を見て、この人にはついて行きたい、一緒に働いていきたいと思った。